小学校の算数を知ろう 1・2年(1)
日本数学協会幹事・多摩第二小学校教諭 有田 八州穂
(「日本珠算」612号より)
小学校算数1年生の学習 4・5月
教科書によって並び方が多少違いますが、共通の原則的学習内容を載せます。
(学習内容)
- 身の回りの数量の仲間わけ・集合作り
- 対応による個数・大小比較
- 10までの数の数え方・読み方・書き方
- 10までの数の大小
- 0の意味・読み方・書き方
- 10までの数の合成・分解
- 集合を表す数と順序を表す数
系統的に「数を学ぶ」第一歩であることを意識して教えます。 それは、今まで、具体的なものの「数え上げ」だった数の世界から、「抽象的な数」や「記号としての数字」の世界にうまく移行させていくということです。特に、気をつけたいことは、
- 数え上げから、「数のまとまり」としての「数感覚」をつけさせる(ぱっとみて、「だいたいいくつ」とわかる・書ける)。
- 「いくつ」と「何番目か」という数の表す意味の違いを意識させる。
- 5 のまとまりを絵を見てぱっとつかめる、うまく囲んで書ける。
- おはじきやタイルや玉のような抽象的な「半具体物」での、数のまとまりの合成・分解(「いくつといくつ」)がスムーズにできる。
- 0の意味、「なにもないことを表す数」が「ある」ことを意識させる。これが十進位取り記数法へつながるし、筆算を可能にする。
- 数の書き表し方の「書き順」に注意する。初めが肝心。
- すぐに計算をやるのではなく、十分に、「数で考える」練習を具体的な中で繰り返す。
- 10合成分解が自在にできる。
ことです。そろばんの特徴を生かして教えてください。
小学校算数2年生の学習 4・5月
(学習内容)
- 簡単なことがらを表やグラフに表す・読む
- アナログ的な時計の読む仕組み
- 十進位取り記数法での2 けたの数を表す仕組みが十分にわかる。(日常の中で)
- 2 桁+ 1・2桁の繰上りがない計算(簡単な暗算と筆算と計算の仕方) の立式計算ができる
- 2 桁+ 1・2桁の繰上りがある計算の立式・計算ができる。(暗算、筆算、計算)
- 足し算の交換法則・結合法則
- 2 桁-1・2桁の繰り下がりがない計算(暗算・筆算・計算の仕組み)の立式計算
- 2 桁-1・2桁の繰り下がりがある計算の立式・計算ができる。
- 足し算引き算の相互関係と答えの確かめ
- 文章題
きちんと横の式を立てられること、筆算の式が書けることが一番のポイントです。また、すぐに計算を始めようとするのでなく、だいたいの数の見当がつけられることも大切です。
- 十進位取り記数法で2 けたの数を表すことが完全にできる。
- 2桁+ 1・2桁の立式がきちんとできる、筆算が書ける、計算の仕組みがわかる。
- 5 や10 の合成分解がすばやくでき、2桁+ 1・2 桁の繰上りがある足し算(立式・筆算・計算の仕組み)ができる。
- 足し算の結合法則交換法則を通して立式の仕方を理解する。計算を工夫できることがわかる。
- 2桁-1・2桁の立式ができる、筆算が書ける、計算の仕組みがわかる。(繰り下がりあり・なし)
- 足し算引き算は『逆の計算』になっていることを文章題の中でわかり、式の表記でもわかる。
ことがポイントです。