小学校の算数を知ろう 3・4年(1)
日本数学協会幹事・多摩市立大松台小学校教諭 有田 八州穂
(「日本珠算」618号より)
小学校算数3年生の学習 4・5月
(学習内容)
- かけ算のきまりについて、0のかけ算、10のかけ算、九九表のきまりについて理解する。わり算につながるかけ算の逆算の習熟。
- 時刻と時間のちがい。午前・午後。時間の求め方。秒、分、時間、日の単位換算。
- わり算の意味。わられる数、わる数。
- 等分除、包含除の区別。
- 0をわる、1でわるわり算。
- 何倍かを求めるわり算。
3年の4、5月の中心はなんと言っても、わり算の導入学習です。そのための準備段階として、2年まで学習したかけ算のしくみをまず学習します。基本的な習得目標は、8×□=56という種類のかけ算の逆算がぱっと出せるということです。そのとき、わり算の商として0や1、10も抵抗なく立てられるように、0や1、そして、10のかけ算もやっておきます。かける数が増えた時、かける数を合成、分解する時は、式できちんと書けるようにさせます。
時間と時刻は、平成23年度から2年生に下りていきますから、あとで、困らない程度にやってお
きます。時間の計算、24時間表記、単位換算はきちんと学習しておきます。
わり算は、その意味をきちんと理解させます。「分ける」と言う時に使う計算であることを、いろいろな種類の量でしつこいほど確かめます。ただ、計算では、整数計算の範囲でおこなわせます。等分除(~等分する)、包含除(同じ数ずつ分ける)は、「いろいろなわけ方」の中で触れればよいと思います。包含除のひとつとして「何倍か」を出すときにも、わり算を使うことも教えます。計算だけでなく文章題を十分に扱います。
小学校算数4年生の学習 4・5月
(学習内容)
- 一千万より大きい数の読み方、書き方、命数法
- 十進位取り記数法の仕組み。10倍、100倍、10でわる。数直線上での大きい数の読み取り。
- 後ろに0のついた数のかけ算。
- 0~9の10個の数字で表せる数、最大、最小。
- 円の定義、中心、半径、円周、直径。
- 円の書き方、コンパスの使い方。
- 球の定義、中心、半径、直径。
- 何十÷1桁、何百÷1桁、何百何十÷1桁の暗算
- わり算の筆算。2桁÷1桁=商2桁・商1桁(余り あり・なし)。答えの確かめの式。
3年に引き続いて大きい数の仕上げ、十進位取り記数法の総まとめになります。珠算の人は、ここをそろばんでやっておくといいと思います。10で位が一つあがること、4桁ごとに命数が変わることなどしっかり、読み、書けるようにしておきます。また、十進位取り記数法のしくみについてもそろばんを使って、理解させておきます。0~9の数字を使えばどんなに大きな数でも(5年で、どんなに小さな数でも)表せることを理解させます。
円と球は、23年度から3年生に移りますが、基本的な定義、名称はしっかり理解させて起きます。測定に関することは、5年以降にやりますので、ここでは、コンパスの使い方に習熟させることを第一の目標にします。
2桁÷1桁のわり算を筆算でスムーズにできるようにします。最終的には、商が2桁でも、1桁でも『暗算で』できるようにさせます。この暗算ができないと、もっと大きな数のわり算がスムーズにできません。ここが、後の計算力を左右する大事な学習ですから、おろそかにしないでください。珠算の人は、ある程度そろばんでできるようになったら、どんどん暗算でやらせましょう。