小学校の算数を知ろう 1・2年(5)
日本数学協会幹事・多摩第二小学校教諭 有田 八州穂
(「日本珠算」616号より)
小学校算数1年生の学習 1・2・3月
(学習内容)
- 100までの数の理解。一、十、百の命数。十進位取り記数法(一の位・十の位)。
- 100までの数の読み上げと記数法。大小。
- 数構成に直結した計算。(「十が何個と一が何個でいくつ」という)
- 120までの数の命数、読み上げ、記数法。
- 数構成の計算(「百と十いくつで百いくつ」数直線の導入。
- 形作り。色板やひごを並べて形を作る。
- 1年生のまとめ
120までの大きい数の命数と位取り記数法のしくみを理解させます。命数と記数の違いに気をつけます。ただ、「計算」にはすぐに入りません。特に、公立小学校では、将来、「筆算につながる計算」をめざすことに留意します。これは、珠算の目標とのちがいです。形も、色板や色棒を並べいろいろな形をつくる図形感覚をやしないます。
これは、将来、タングラムや等積変形につながります。
- 十進位取り記数法のしくみを理解させながら、20から120までの数の仕組みの理解と命数法を理解させます。「にじゅうご」を「205」と書かかないように、「読み方」と「書き方」のちがいに気をつけます。
- 数構成に気をつけて、「十が~個と一が~個で~十~」と計算させます。簡単な(何十)+(何十)のたし算もやります。「百と十~で百十~」という計算もやります。120までの数の数直線と大小も理解させます。
- 形作りは、2年につながるように色板や色棒で図形作りをさせ、パズル問題などもやらせます。
- 1年では、たし算、ひき算の暗算が重要です。
小学校算数2年生の学習 1・2・3月
(学習内容)
- 九九表作りと九九表の規則性。
- 乗法の交換法則・同じ答えになる九九。
- 普遍単位mの意味理解・測定。
- 1000より大きい数・一万までの数。十進位取り記数法による表記。読む。(漢数字で書く)
- 100を単位とする数がわかる。(「100がいくつ」)
- 数構成と結びついた10000までの数の計算。
- 数直線上の数の読み取りと大小理解。
- 何百、何千の計算。
- 九九を使ったゲーム。九九の習熟。
- 2年生の学習のまとめ。
2年で十分習熟させるのは九九です。また、かけ算のきまりをきちんと理解させておくことが、
あとの学年での算数理解に大きく影響します。また、大きな数のイメージをつかむことと、きちんとした十進位取り記数法で10000までの数をとらえます。長い長さを測る単位としてm(メートル)の理解と測定の習熟が求められます。計算は、基本的には「筆算」ですが、ある程度の2けたの暗算が必要です。
- 「かける数」が1ふえると、答えは「かけられる数」だけふえることを九九表から確かめます。
- かけ算は、交換しても答えが同じこと(乗法の交換法則)を九九表でまた文章題でも確かめます。
- 1mの理解と単位換算、測定を行います。
- 十進位取り記数法による10000までの数の理解と、数構成と結びついた10000までの計算で数を求めます。
- 数直線上の数を読み取り、また、逆に、数直線に数を表します。漢数字での表記も必要です。
- 数の大小を数字で、また、数直線上で理解します。
- 何百+何百、何千+何千、千何百-何百、何千-何千、一万-何千などの計算ができるように。
- 2年ではかけ算の暗唱、2けたの加減暗算が大事。