そろばんと暗算力

いろいろなそろばん

 みなさんは、珍しいそろばんをたくさん目の前にしてびっくりしているでしょう。
こんなに、多くの種類があるということは、日本でのそろばんは、本当に国民生活にとけこみ、活用され、愛されてきた証拠です。西洋でも、線そろばんが長く使われましたが、インド・アラビヤ数字の出現で筆算にとってかわりました。
アジアのそろばん文化圏の国々では、今そろばん式暗算を重視しはじめています。
コンピュータ時代の現在、それを使わなければ確かに成り立たないことも多くあります。
しかし、自分の力で計算できるということは、読み・書きと同じように、人の一生にとってとても大切なことです。 「読み・書き・そろばん」これは昔も今も変わりません。 世界の教育者たちも、日本のそろばん教育に注目しています。

視覚障害者とそろばん

目の不自由な人にとって、数をとらえたり、計算をすることは大変困難なことです。
日本では明治11年、初めて盲学校が設立されて以来、算数の教具としてそろばんを用いています。そろばんは、目の正常な人たちが用いているような、ちょっと触れるだけで玉が動いてしまうものは使えません。そこで、視覚障害者用のそろばんが開発され、現在に至っています。
また、アメリカの盲学校でも、そろばんは教具として用いられています。アメリカの学者が開発したそろばんも多く使われています。
昭和40年から、視覚障害者の珠算検定試験が始まりました。A~Fクラスの6段階の内容で、一番高いクラスは、目の正常な人の珠算検定試験の、3級程度の能力に相当するように問題が作られています。

関東式

現在の普及型

大阪式 半玉

驚異の暗算力

 そろばんを学習すると、イメージして行う暗算力が身につきます。
これは、わずか5つの玉で0~9までの数を表現できるそろばんの構造が、そのイメージを容易にしているからです。
暗算の名人になると、現在では16桁の計算が暗算できてしまいます。
外国に行って、(2けた)×(2けた)のような計算を暗算でやってしまうと、みんな「マジックだ」(魔法だ)とビックリしますよ。そろばんを習って、暗算の得意な人はチャンスがあったらやってみましょう。
また最近では、このそろばん式暗算は、右脳の発達に効果があるというデータがでています。右脳は、音楽・感性・創造という面の働きをします。左脳は計算・論理・暗記という面の働きをします。つめ込み教育への偏重である左脳型人間より、今後は創造性豊かな右脳型人間が必要とされている昨今です。そろばんを使っての計算は左脳、そろばん式暗算は右脳、そろばん学習は、左脳と右脳をバランスよく使う学習といえます。