小学校の算数を知ろう 1・2年(4)
日本数学協会幹事・多摩第二小学校教諭 有田 八州穂
(「日本珠算」615号より)
小学校算数1年生の学習 11・12月
(学習内容)
- (1けた)+(1けた)の繰り上がりのあるたし算
- たし算の文章題での立式・計算・暗算
- (十何)-(1けた)で繰り下がりのあるひき算
- ひき算の文章題での立式・計算・暗算
- 文章題での、たし算なのか、ひき算なのかを判断して立式・計算を行う問題
- ゲームによる、加減計算の習熟問題
1年生で学ぶ計算の集大成、繰り上がりのある(1けた)+(1けた)のたし算と(十何)-(1けた)の繰り下がりのあるひき算が出てきます。ここが、1年の計算学習の山場です。また、文章を式にする、「算数の表現」の大事なところですから、丁寧に、数学のきまりにしたがって教えます。
- 文章から、繰り上がりのあるたし算の立式を教えます。答えが10より大きくなる場合も、今までの、式の立て方でよいことを理解させます。
- (1けた)+(1けた)の繰り上がりがあるたし算の計算のしかたを考えさせます。10がいろいろな方法で作れることを理解させ、その中で自分にあった計算方法を選び習熟させます。
- 文章から、繰り下がりのあるひき算の立式を、今までのやり方同様に立てさせます。
- (十何)-(1けた)の繰り下がりのあるひき算のいろいろな計算の仕方を考えさせ、自分にあったやり方で正確にできるよう暗算させます。
- 計算方法を文章題から考える問題です。たすのかひくのかを文章から考え、立式、計算します。いわば、1年の応用問題です。
- 計算習熟ゲームです。珠算的なものもいいです。
小学校算数2年生の学習 1・2・3月
(学習内容)
- かけ算3の段、4の段の九九の構成、「かける数」「かけられる数」の意味を理解する。
- 「かけ算歌」で暗唱。かけ算ゲームやカード遊びでかけ算の習熟をはかる。
- かけ算6の段、7の段の九九の構成の理解と習熟。かける数が1ふえる時の答えの増加の仕方。
- かけ算8、9、1の段の九九の構成の理解と習熟。かけ算歌でのすべての段の暗唱。マス計算による習熟。
- 文章題からかけ算の式を立てる。「~つ分」「ばい」等の表現とかけ算の結びつきを理解する。
かけ算は小学校教育で一番大切な計算です。ここでのつまずきが、後まで影響します。「意味」「立式」「暗唱」「規則」を同じ比重で理解させます。計算も重要ですが、文章を式にすることも大事です。特に、「かけ算は交換しても答えは同じ」というきまりを文章題の中でしっかり教えます。
- かけ算を「かける数」、「かけられる数」という名前で教えます。そして、3の段、4の段、6の段、7の段、8の段、9の段、1の段の順序で、「意味」「マス計算」「式」「かけ算歌」というセットで教えていきます。
- 各段の学習の中で、日常生活場面での「文章題」を「立式」「計算」「暗唱」の3セットで教えます。
- 4の段のところで、「かける数が1ふえると答えがかけられる数ぶんだけふえる」という規則性を理解させます。後の段でも必ず触れます。
- それぞれの段のところで、かけ算のきまりを使ったゲームなどでかけ算に親しみます。
- 文章表現「~つぶん」「~ばい」をかけ算と結びつけて立式させる練習をします。また、このとき、かけ算の交換法則を問題の立式の仕方を考えさせる中で教えます。