小学校の算数を知ろう 5・6年(4)

日本数学協会幹事・多摩市立大松台小学校教諭  有田 八州穂
(「日本珠算」627号より)

小学校算数5年生の学習  11・12月

(学習内容)

  1. 図形の角:三角形の内角の和、多角形の内角の和、しきつめ、外角の和
  2. 分数のたし算とひき算:通分、約分、異分母分数の加・減法、混合計算、時間の分数表示
  3. 四角形と三角形の面積:平行四辺形・三角形 ・台形・ひし形の面積、面積の概則、底辺・高さと面積の比例関係、等積変形による求積
  4. 復習:分数の大小、三角形の角度、分数倍単位あたりの量

 合同をやったあとで「三角形の内角の和」というのも、順序が逆な気がします。ここでは、三角形の内角の和は180度と覚えるだけでなく、「なぜ180度になるか」を考えさせます。それが、角度を「回転量」と考えることと結びつくのです。多角形の内角の和や外角を考えさせるときにも、この回転量を使います。多角形の内角の和は、三角形に分割して出すことを理解し、できれば、内角の和を出す一般式までたどり着けるといいです。

 2学期の初めに学習した倍数・約数の計算での活用はこの異分母分数の通分・約分のときに一番力を発揮します。そろばんをしている子の「暗算力」がここで発揮されます。「通分は最小公倍数でやること」を最初の段階でしっかり教えます。「約分は最大公約数でやること」も最初にくせをつけさせます。分数、小数の混じった混合計算は、式をみて、分数にそろえるか、小数にそろえるか判断します。時間の分数表示は60進数に注意。

 面積は公式を覚えるのは最後の段階です。まず、等積変形で長方形に変形できることを理解させます。つまり、「なぜそういう公式になるのか」をしかりと理解させます。「変形の考え方」ができると、応用ができます。

5年生の問題 4・5月
5年生の問題 11・12月(pdf)

小学校算数6年生の学習 11・12月

(学習内容)

  1. 比例と反比例:2.量の関係を表にあらわす、2.量の関係のきまりを読み取る、2量の関係をx・уを使って式であらわす、比例、反比例の関係の理解、表や式から座標グラフであらわす、応用問題
  2. 資料の調べ方:平均とちらばり、度数表を作る、度数表から柱状グラフを作る、いろいろなグラフ、グラフの読み取り、応用問題
  3. 2学期の復習:比例反比例、速さ、拡大図と縮図算数的活動、応用問題

 比例反比例は「函数」として教えるべきだと思います。それが中学の一次関数につながるからです。また、関係式やグラフを読み取るというのは、今の子ども達が苦手としているひとつです。まず、問題を読み、資料を整理しどんな表にまとめるか考えます。表にしたら、x とy を変数ときめ、表からx に「どういう操作」を加えたらy がでるかを読み取ります。それを一般化したxとy の関係式を求めます。さらに、表をxy の座標グラフとしてあらわします。応用として、グラフや関係式から比例・反比例を読みとったり、変化や数値を読み取ったりします。

 これも、いったんなくなり復活してきた学習です。資料があったときに、それを表としてどうまとめるかを今までのグラフ学習のまとめとして考えさせます。ちらばりがある資料が普通ですから、それを区間度数分布表にまとめます。このあとの柱状グラフ(ヒストグラム)にあらわす基本資料ですから正確にまとめます。特に、区間を連続性があるように注意してとります。柱状グラフにまとめたらその読み取りをおこないます。最後に、小学校でのグラフの読み取りのまとめとして、いろいろなグラフの読み取りを学習します。算数的活動として、図や表や式を使って、きまりをみつけて問題を解く練習をします。

6年生の問題 4・5月
6年生の問題 11・12月(pdf)