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そろばん振興を通じて目指すもの

平成19年3月23日
日本珠算連盟そろばん有識者懇談会


教育基本法の改正や学習指導要領の改訂など、教育界に大きな改革の波が押し寄せている。教育再生会議が本年1月に取りまとめた第一次報告では、公教育再生への第一歩として、初等中等教育に関する基礎学力、規範意識などを当面の課題として挙げている。

わが国では、古くから「読み、書き、計算」という基礎学力を育成する教育の仕組みがあり、資源のない日本が世界に冠たる技術立国として優位性を保ってきたのは、このような本質的な教育を重視してきた結果といえる。現在揺らいでいる教育を再生するために「読み、書き、計算」を徹底することを提言している教育再生会議の考え方は、こうした古くからの教育の仕組みを再構築し、足元を見つめ直すものであり、世界におけるわが国の将来を考えるうえでも非常に重要なことである。

こうした中で、江戸時代から「読み、書き、計算」の能力育成となってきた「そろばん」の価値を再評価する動きが広がっていることは、誠に喜ばしい限りである。

このような状況を踏まえ、「日本珠算連盟そろばん有識者懇談会」では、戦後、わが国経済発展の原動力となった「読み、書き、計算」の基礎能力のひとつであるそろばんの教育的・現代的意義をあらためて問い直し、将来に向けてその有効活用を図るため、下記の4つの視点を基本にした社会的運動を広く展開していくこととする。

初等中等教育に有効なそろばん3点セット

そろばんの教育方法は、「暗算、筆算、そろばん」の3点セットである。この教育方法を初等中等算数教育に復活させ、数的能力を育み十進位取り記数法が理解しやすいなどのそろばんの利点を生かした計算の基礎能力の向上を図ることで、教育の基礎・基本の強化につなげていく。

そろばん文化の見直し

そろばんで培われる能力は、技術立国を支える基盤であるとの認識のもと、日本古来のそろばん文化を維持・発展させていく。特に、インターネット社会におけるIT機器はツールにすぎず、計算力・思考力の養成のためには、そろばん教育が必要不可欠であることを訴えていく。また、速く正確に計算するだけではなく、計算を楽しむ、計算結果をもとに種々考えさせる江戸時代の和算教育を現在のそろばん教育に取り入れるほか、子供たちの規範や規律、躾の習得にも役立たせていく。

脳を鍛える生涯学習の一環として活用

そろばん学習の経験の有無が脳に及ぼす効用や、この効用をさらに活用することで脳を鍛えることができることなどが、徐々に解明されてきている。そろばんを学習することで脳を活性化し、情緒の安定や老化・認知症の予防、生きる力を強めることを研究・検証し、生涯学習の一環として活用していく。

地域コミュニティの再生の一翼を担う

教育再生会議では「地域総がかりで子供の教育を」と提言している。子供たちが一堂に会してそろばんを学習する場や、高齢者を含む生涯学習の場、あるいは子供たちと高齢者がそろばんを通じて交流する場などを拡げることで、失われつつある地域コミュニティを再生する一助としていく。

社会的運動を展開していくための日本珠算連盟の当面の行動計画

小学校におけるボランティア珠算指導活動を推進する。
小学校・中学校の教師など珠算指導者への支援を強化する。
小学生・中学生の父母に対して、そろばんの効用をPRする。
そろばん学習者と非学習者の脳機能を比較研究する。
日本珠算連盟そろばん有識者懇談会に「初等中等教育推進」「脳機能研究」「そろばん指導者養成」などの分科会(いずれも仮称)を設け、専門的研究を行う。
そろばんを応援していただく300人委員会(仮称)を設置する。

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