そろばん漫画「願いましては」

『願いましては』(ウィングス・コミックス)

願いましては
(C)鈴木有布子/新書館

そろばんがテーマの学園コメディ『願いましては』が 『Wings』6月号(新書館)にて最終回を迎え、単行本が7月23日頃に発売されます!

<作品紹介文>
近江成親(おうみ・なりちか)=通称・ちかは、中学時代、強豪サッカー部のレギュラーだったが膝を故障し、高校ではサッカーが続けられない状態。ある日、たまたま珠算部員が集う教室に訪れたちかは、 フラッシュ暗算の数字をすべて当てた瞬間視力と動体視力を買われ、珠算部に入部することに!珠算部が舞台のハイスクール・そろばん・ライフ!!

<作者プロフィール>
鈴木有布子(すずき・ゆふこ)
9月4日生まれ。乙女座・B型。 『Bino! Bino!』『旬』(新書館)、『ゆうまくんのまいにち』(マッグガーデン)など単行本多数。 現在、『ITAN』(講談社)ほか数誌で連載中です。

鈴木有布子先生のブログ「ゆあん」( http://www.k5.dion.ne.jp/~uzu_maki/)

鈴木有布子先生にお聞きしました!

Q:鈴木有布子先生自身は、そろばんを習われていたことがありますか?
A:残念ながら、ないのです。小学生だった当時の友人には、そろばんを習っていた人がかなりいて、数字が極端に苦手な私は、この友人たちがすらすらと算数の問題を暗算で解いていくのを見て、 「そろばんってすごいなあ」と感動した記憶があります。その頃からそろばんへの憧れがありました。

Q:そろばんの漫画を描こうと思ったきっかけは何ですか?
A:担当さんが電話での打ち合わせ中、「鈴木さんの書くスポーツものが読みたい」、と仰ったんです。でも私は、学生時代に何かスポーツをやっていたわけでもありませんでしたし、スピード感のある描写は私の作風に向かないだろうということで「無理です!」と即答しました。
しかしそのうちお話が「文科系スポーツならどうか」という方向に進み、そこで、前述したそろばんへの憧れを思い出して担当さんに伝えたところ、こういう運びになりました。

Q:漫画の随所に盛り込まれているそろばんについての知識は、どのように集められたのですか?
A:本や、周りの方の経験談ですね。でもそろばんに関しての本は、入門書などはあるのですが、 純粋にそろばんを紹介したものがあまりないので、探すのに苦労してます...。

Q:実際にそろばんの世界を見てみていかがでしたか?
A:驚きの世界でした。まんがの中でも登場人物が口にしていますが、「まるで魔法のよう」でした。
7月に行われた「珠算名人位決定戦」を観戦したのですが、案内していただいた先生にお聞きした話では、 問題を解き、答えを紙に書き写している間に次の問題を解いているとのこと。もうこの人たちは、いくつ頭があるのだろうと唖然としてしまいました。
それを小学生くらいの子どもたちがやってしまうのですから、本当に驚きの世界です。しかし伝票算の段になると、紙のめくりがおぼつかなかったりして、妙に安心したりしましたね(笑)。

Q:鈴木有布子先生が考える「そろばんの魅力」とは何だと思いますか?
A:暗算では、数字をそろばんの珠に置き換えてイメージして計算するとよく聞きます。
これは経験者の方にはごく当たり前のことなのかもしれませんが、経験していない者にとっては 難しいことです。そろばんの珠を頭の中で思い描くことくらいはできるかもしれませんが、その珠が 計算するところをイメージしていくとなると・・・
その、頭の中にイメージするという力も素晴らしいですが、イメージを持続できる集中力もまた驚きです。 そういったものを養うことのできるそろばんって、やっぱりすごいです。

Q:本作を通じて伝えたいことを教えてください。
A:この作品は、様々な事情を抱えた人物たちの群像劇として描き始めました。
タイトルには、そろばんで計算をする時に使われる「願いましては」はもちろんですが、 「願い」という言葉も引っ掛けています。
連載当初、私の中にあったキャッチコピーのようなものは「願いは、叶わない」というもの。 登場人物たちは将来や人生に夢や希望を持って生きていますが、それぞれに挫折を経験しています。 夢を叶えることが困難で、いくら強く望んでも、それが叶わないのだと思い知っても腐らずに、 前へ進もうとする姿勢を描ければと思っています。


今後の展開が楽しみですね!鈴木有布子先生、どうもありがとうございました。